| 岩里祐穂(Yuho Iwasato)の経歴 |
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1957年新潟県生まれ。 シンガーソングライターとしてデビューし、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、アルバムをリリース。 その後、アーティスト時代に知り合ったホリプロの人に声をかけられ、 1983年、堀ちえみに「さよならの物語」を提供し作詞家としてデビュー。 以後しばらくしてから、ペンネームを「いわさきゆうこ」から「岩里祐穂」に変え、女性アーティストを中心に作品を提供しつづける。 また、小説の執筆の経験もあり1996年にはマガジンハウスから「恋の記録-memoire d'amour-」が出版されている。 その他に「PIECE OF MY WISH」(詩)などがある。 我らが坂本真綾はもちろんのこと今井美樹など、ヒット曲多数。 |
| 小説「恋の記録-memoire d'amour-」とDIVE |
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この小説は「怜子」という一人の女性の、まさに恋の記録である。 「嫌な女だ」それが私が怜子に抱いた最初の印象である。 タバコは吸う。独占欲は強い。どこか高飛車。そして、自分の為に他人を傷つけることをなんとも思わない女。どこから見たって嫌な女である。 そんな作詞家の怜子が半藤という男を愛する中で物語は綴られてゆく。 つかもうとすればするりと抜けてゆく半藤の心。そして、そんな毎日を紛らわせる為につきあい始めた充彦という男をいつしか怜子は愛するようになるが・・・ どうしてだろう。読み始めあれほどに嫌悪感を覚えた怜子に対する感情は、いつしか同情に変わり、果てには彼女が報われることを願ってやまなくなっていた。あまりの不運な事の運びに目を覆ってしまうこともあった。それは、他人から見たら気分任せに見える怜子の行動にも、怜子の主観から書かれたこの小説では、いちいちに最もであったし、その行動の一つ一つが哀れで、痛々しく、愛すべきものであったからだと思う。 この物語の結末は、ほんの帯に既に「何故、彼女は彼に愛されなかったのか」と書かれている。そう、結局怜子は半藤から愛されなかった。そんな彼女の愛の過程を淡々と綴っている様がいかにも「恋の記録」という表題にふさわしいのだが、この本を読んでいる途中で私の頭の中にある一つの歌が流れた。「DIVE」である。 見たことのない彼女のいる半藤に愛される為にもがき、傷ついていく怜子。そして、彼の真意を最終的に知る彼女。愛もなく抱き合う最後の夜が終わり、迎えた朝は彼女にとって「終わり」であり「始まり」でもあった。そう、「死」を迎えることで「再生」した彼女は最終的に穏やかな心を勝ち取るのである。 この内容を見て「DIVE」を連想するのは、至極当然のことであるように思える。更に後書きを見て驚いた。以下に後書きの一部を掲載する。 あとがき かつて恋をしている時、海の中をひたすら潜っているようだと思ったことがありました。息を使い果たし、意識を失いかけても、たやすく水面へと浮かび上がることはできない。水は凍るように冷たく、ただ泡の中で手足をばたつかせもがいているだけなのに、深い海底へと泳ぎきらずにはいられないのです。見たこともない美しい景色が待っていると信じていたからかもしれない。くだかれた砂の粒子が眠っているだけの真実。でもそれを見た時、不思議にも心の澱みが一瞬にして晴れたのを忘れることができません。 荒れ果てた海底をこの目で確かめ、冷たい砂をこの手で握りしめた時に、恋はようやく決着がつくのだと思う。そして次の呼吸を求めるために、はじめて水面へと昇ってゆける、そんな気がします。 ・・・・・(以下略) この小説が「DIVE」の前身だと言える内容になっている。 そんな、彼女の人生がめいっぱい詰まったこの「あとがき」が2年も温めつづけられて坂本真綾という人物に託されたということは、とんでもないことだと思う。自分が最も言いたかったことを、彼女なら表現してくれると信じたから、だから「DIVE」を書いたのだろう。そして、丸2年温めてきた詩を手放すことにより岩里祐穂さん自身も一歩前に踏み出すことが出来たのではないだろうか。そのことが、現在の彼女につながっているとしたら、「坂本真綾」のファンとして、これほど嬉しいことはない。 |
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